リンサイです。
セールスを極めると詐欺商材さえ簡単に売れると言われます。
人の心をつかみ、商品を欲しくてたまらなくする手法が世の中には存在します。
それを実践して2000万ドルを一気に築きあげたジョン・ブリンクリー。
アメリカのマーケの世界では彼を絶賛していて、彼のマーケ手法を研究する書籍も多く出版されています。
その一方で飛んでもない詐欺師と悪評も高い。
この記事では
・ジョン・ブリンクリーの大爆笑の詐欺の実例
・ジョン・ブリンクリーの絶賛のマーケ手法
・彼から学んでどう動くべきか
などがわかります。
ブリンクリーって
・最も常軌を逸した医療詐欺をはたらいた重罪人
・マーケティングの天才
医師と詐称したペテン師のマイナスイメージとマーケティングの神と称賛されるプラスイメージを併せ持つアメリカ人で1885年生まれで1942年5月に亡くなっています。
「ナッツ!ブリンクリー博士の奇妙な運命」の映画になるほどの話題性のある人生を送っています。
2000万ドルの富を築き、大豪邸に住み家族専用飛行機までもつまで成功したブリンクリーの驚愕のストーリーをまず、お伝えします。
天才詐欺師の歩み
勃起不全の治療
1917年、カンザス州の町医者ブランクリーの元に、地元の農夫がこそっと相談にきたのです。
「私も妻も子供を望んでいるのだが、私のモノが役に立たず、妻に何年も悲しい思いをさせてしまっている。何かいい薬はありませんか?」
ブランクリーは「残念だが、そんな薬はないな」と答えます。
ここで農夫はとんでもないことを言い出します。
窓の外を見つめヤギの交尾をみていたので安直に
「元気なヤギのモノを私に移植してくれませんか?」
普通の人はこの冗談ともいえる提案を本気にしませんが、ブリンクリーはこれを実行に移します。
ヤギの睾丸を移植する手術をしたところ9か月後に妊娠が報告され、彼に息子が生まれた。
「えっええ!マジ?」ですよね。
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「最初のヤギ生殖腺移植治療による赤ん坊」である「ビリー」を強調した1920年の新聞記事がこちらです。
口コミが広がり、全米から勃起不全に悩む男性が殺到した。
自叙伝やラジオ放送で宣伝
「ヤギ生殖腺移植手術」を宣伝活動が天才的にうまいです。
①自叙伝
②新聞社
③ラジオ放送
「ジョン・ブリンクリーが凄い医者だ」という本があるのですが、実は裏で手を回して書かせているのです。(第3者による社会的信用)
1918年ミルフォードに診療所を開院した際にも、先ほどの新聞記事をのせて宣伝しています。
ブランクリー医師をたずねて、遠方からも人が集まり、街は栄えていき、ブリンクリーは街のヒーローになっていくのです。
そして、拡散の極めつけはラジオ放送です。
1923年に放送免許を手に入れ自分のラジオ局を創設
カントリーミュージックを流し多くの視聴者に向け彼は巧みな宣伝文句で自分の病院・勃起不全手術のコマーシャルを流しまくる。(大きなメディアによる宣伝活動)
この時点で巨額の富を得ることに成功しています。
こうなってくると敵も現れてきます。
インチキなやり方で荒稼ぎするのを面白くないと思う医師や富裕層たちです。
ブリンクリーは未認定の学校であるベネット医科大学に入学したが正式な医師免許(医学学位を購入)を持たず、医学会では異端児として目の敵にされます。
知事選に立候補
ブリンクリーは演説力に長けていたため、彼の手術で勃起不全を回復した患者たちを集め、彼らの声を聴衆に届けることで手術の正当性を唱えていきます。(口コミの拡散)
医学会や権力・富裕層から嫌われていたブリンクリーはついに、医師免許も放送権も剥奪されることになり、窮地に追いやられます。
この動きに対抗するのが選挙戦です。
1930年のカンザス州の知事選に立候補するという行為にでます。
ブリンクリーは妻と共に各地を回って、「貧困層のための政策」を聴衆に語り、確実に一般庶民・貧困層の支持を拡大していきます。
選挙結果は3万票差で対立候補のハリー・ウッドリングに敗れます。
ブリンクリーの支持者の多くは貧困層(文字が正しく書けない)であったため、
「投票の際にスペルが1文字でも間違っていれば無効票とする」
という反対勢力が強引に決めたルールにより5万票が無効になった。
ただ、ここでブリンクリーは価値あるものを得ます。
・人口の割合が高い貧困層の支持
・圧倒的な知名度
・知事選に出たことによる社会的信用
メキシコ進出と世界一のラジオ局
アメリカでの放送免許は剥奪されたブリンクリーはメキシコに巨大な高さのラジオ塔を建てます。
強い電波により彼のラジオは世界中で視聴されるようになり世界一のラジオ局を手にすることになります。
今ならユーチューブを独占している状態でしょうか?
全世界で「勃起不全を直します。あなたの性生活を取り戻しましょう」と。
その影響力を活かして広告の新しいモデル展開にも力を注いでいきます。
新診療所と新薬で無双する
カンザス州では医療行為を禁止されていたのでテキサス州で新しい病院をはじめます。
「フォーミュラ1020」というヤギの睾丸移植手術に変わる同じ効果を期待できると謳った新薬注射の開発。
なんやかんやで医師免許なしで20年間医療マーケをやり続け、6000回も手術をしています。
その結果、大豪邸に住み、家族の専用飛行機を所有し、毎週日曜日には豪邸の庭園に街の人を招いてパーティーでもてなします。
彼の病院、彼の新薬事業は街に数千人単位の雇用をもたらすまでに。
驚愕の真相は?
勃起不全回復の真相は「プラセボ効果」
最初の患者が成功したことでジョン・ブリンクリーも調子にのり、詐欺的医療行為を続けることになります。
じゃあ、ブリンクリーは何をしたのかは
・人間の睾丸と皮膚の間にヤギの腺を配置しただけ
・異物が皮膚の下にあるのと同じ
・血管も通っていないので移植じゃない
じゃあなんで直ったのかはプラセボ効果
有効成分が含まれていない薬剤(偽薬、プラセボともいわれる)によって、症状の改善や副作用の出現が見られること。偽薬効果ともいわれる。
プラセボ効果が起こる理由は明らかになっていないが、暗示や自然治癒力などが背景にあると考えられている。
治ると信じることで治ったのだから不思議です。
ただ、勃起不全になる人は精神的な原因の人もいるので、このようなことが起こっても不思議ではないですよね。
精神的なストレスがある場合(心因性ED)・・・30歳代、40歳代に多い
精神的なストレスがあると、神経の性的な興奮がうまくペニスに伝わらないために、EDが起こりやすくなります。このEDを心因性EDといい、その原因は実にさまざまです。仕事や夫婦関係など日常生活におけるストレスが原因となることもあれば、性交がたまたまうまくいかなかったことよるトラウマが原因となることもあります。このタイプのEDでは、「また失敗するのではないか」という不安が大きなストレスとなり、EDを悪化させることもしばしばです。
引用;EDの基礎知識
フォーミュラ1020(勃起不全治療注射薬)
爆発的な売上を上げたフォーミュラ1020はヤバすぎますよ。
1人の患者に1本100ドル×6本セット、つまり600ドルで販売。
その成分は蒸留水と青色色素を1000:1の割合で混ぜただけの液体。
なんじゃこれ!
権威がつくとこんなものでも売れてしまうのが恐ろしいです。
裁判で嘘が暴かれる
アメリカ人医師兼ジャーナリストのモリス・フィッシュベインによる裁判で嘘が暴かれます。
フィッシュバインがフリンクリーをペテン師と称し新聞記事で発表したことによりブリンクリーが名誉棄損で裁判を起こした。
ここで返り討ちにされてしまいます。
確実な科学的証拠や彼の経歴詐称など多くの証拠を並べ、ペテン行為の終焉になります。
マーケティング手法を学ぶ
何も成果にない「ヤギの睾丸を移植する手術」から莫大な富を築いていった手法はアメリカのマーケティング業界でも語りつくされています。
この手法から学ぶべき点をまとめておきます
「信頼」という社会的証明の作り方
口コミ(第3者の声)の作り方が異常にうまいです。
今ではすぐに購入者の声がSNSを通じて簡単に集めることができます。
当時はSNSがないので自叙伝の発行ぐらいなのですが、これをちゃんとライターを雇い書かせているのは見事です。
そして、治療を受けた人を集めて宣伝をするあたりも抜け目ないですよね。
自分で「この商品はいいです。」というより第3者が言う方が圧倒的に効果があります。
私達がモノを売ったとき、いい口コミを発生する仕組みを作らないといけません。
いい口コミを毎回ちゃんと発生する導線を作っている人といない人で売上は大きく変わってきます。
よい口コミは信用を生み、その評判が人を集めます。
ネットビジネスを無双するにはいかに自動でいい口コミが発生させることができるかです。
メディア戦略
選挙戦やラジオ局開設は見事なメディア戦略です。
メキシコで巨大なラジオ塔を立てて全世界に情報発信していくことで無双していきましたね。
男性の恥ずかしくて相談できない悩みなので、知らせることで食いついてくることは予測できていたことでしょう。
そのため、資金を投資して広く宣伝していく部分は、現代で言えば「いい商品なら広告を回してでも認知させていく」戦略に通じるものがあります。
ターゲット戦略
ここが何と言っても素晴らしい着眼点かと。
お客さんが「勃起不全は直らない」と絶望しているのです。
「そこに直りますよ」の一声って超絶希望を感じますよね。
この悩みは生命の8つの躍動と言われる強い欲求の1つ「性的に交わりたい」です。
なので、この訴求は「ひょっとして直るかも」と思わせたら今回のように多くの人が食いついてきます。
どんなにお金を払ってでも直したい悩みですから。
生命の8つの躍動とは
生命の8つの躍動
1.生き残り、人生を楽しみ、長生きしたい。
2.食べ物、飲み物を味わいたい。
3.恐怖、痛み、危険を免れたい。
4.性的に交わりたい。
5.快適に暮らしたい。
6.他人に勝り、世の中の後れを取りたくない。
7.愛する人を気遣い、守りたい。
8.社会的に認められたい。
引用;現代広告の心理技術101
まとめ
どうだったでしょうか?
誤解される方はないと思いますが、マーケティングやセールスの知識を学べば、詐欺商品でも売れますよではないです。
いまから7~80年前、SNSがない、テレビも普及していない時代に
・本を書かせる
・手術の成功の体験談を語れせる
・新聞の記事をのせる
などで第3者の声を広く拡散したことがムッチャすごいことになります。
現代ではSNSが浸透していますので、あなたが情報発信で成功するためにはいかに自分の商品の口コミを発生させるかに尽きるということです。